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【2015年版】これだけは知っとこう! 世界の政治リスク トップ10

ちょうど9ヶ月前の2015年1月5日、アメリカの国際政治学者イアン・ブレマー博士率いるユーラシア・グループという会社が発表した「Top Risks of 2015(日本語版:2015年のトップ・リスク)」という報告書をご存知でしょうか。

ブレマー氏が代表を務めるユーラシア・グループは、国際的な政治リスクについて研究するコンサルティング会社で、毎年始めにその年の世界の政治リスクトップ10を予想して発表しています。

今回は一足早く今年の世界情勢を振り返り、現在進行中の出来事も含めて「2015年のトップ・リスク」の評価がどれほど現実のものとなっているのかを見てみたいと思います。

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2015年のトップリスク

 1位 ヨーロッパの政治情勢

 2位 ロシア

 3位 中国経済減速の影響

 4位 金融の兵器化

 5位 イラクとシリアからのイスラム国の拡大

 6位 弱い現職指導者

 7位 戦略部門の台頭

 8位 サウジアラビアとイランの対立

 9位 中台関係

10位 トルコ

 圏外 アジアのナショナリズム

    イスラム国

    石油国家

    メキシコ

 

それでは、それぞれの項目について、2015年のこれまでの出来事から見ていきましょう。

 

1位 ヨーロッパの政治情勢

 これは間違いなく今年の国際政治の中心課題であったと言ってよいでしょう。報告書が出された今年の冒頭から前半にかけては、ギリシャの財政危機を始めとするヨーロッパ経済の問題が世界を揺るがしていました。そしてギリシャは緊縮策を支持しない政権を自ら選ぶことによって、デフォルトに一歩近づくところまで来ました。これはさらにイギリスのEU離脱問題の形でも国際社会に黒い影を落とし、そして現在、ヨーロッパでは大量のシリア難民の扱いをめぐって再び各国間の軋轢が深刻化してきています。

2位 ロシア

 ロシアとアメリカの関係は冷戦終結以降で最も悪くなっていると言っても過言ではないでしょう。ウクライナの問題が未だくすぶる中で、現在はシリアをめぐって米露の緊張感が高まりつつあります。シリアのアサド政権を支援する立場のロシアと政権の交代によって安定を築こうと考えるアメリカの間で、両者ともに軍事力を投入してISの総統作戦を行いつつ、にらみ合いが続いています。

3位 中国経済減速の影響

 これは7月末に上海株式市場の急落という形でも表れ、その後の世界的な株安へとつながりました。また、翌8月に起こった天津での爆発事故は、世界第4位の貿易港に大きな被害を受けたというだけでなく、外資が中国での活動に対しての警戒感を高めることにもつながる問題です。経済成長が実際には政府発表よりも鈍っているとの見方が多い中で、今後中国経済の減速が世界経済にどのように影響を与えていくのかが注視されます。

4位 金融の兵器化

 これはランキングの中で最も聞き慣れないものかもしれませんが、要するには金融制裁のことです。例えば、イランが核兵器の開発を疑われる行動をとったり、北朝鮮がミサイルを発射した際などに、経済制裁が行われたことはよく知られてます。この点で、アメリカは核問題に関する合意に至ったイランに対して制裁を解除することを議会で議論するところまで来ました。一方で、中国のサイバー攻撃に対してアメリカは制裁をちらつかせて牽制するなど、金融制裁を戦略的に使おうという動きは引き続き見られます。

5位 イラクとシリアからのイスラム国の拡大

 ブレマー氏の懸念どおり、イスラム国 (ISIS)は引き続き活発な活動を続けています。昨年に比べると拡大のスピードはやや鈍ったものの、シリアとイラク国内では現在も影響力を拡大しています。これに対し、ロシアやオーストラリアがISに対する空爆を開始した一方で、これまで空爆を行ってきたアメリカ国内からは空爆の効果に懐疑的な見方も示されています。また、ISによるテロは中東・アフリカ地域のみならず、ヨーロッパや、ISとの関係が疑われる先日のバングラデシュ邦人殺害事件などアジア地域にもその影響が拡大してきています。

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6位 弱い現職指導者

 混乱の続いているギリシャやトルコの政治に関しては他の項目でも触れているとおり、指導力不足や基盤の脆弱な政権による国内政治の混乱はブレマー氏の予測どおり国際政治に大きな影響を与えました。一方で、ナイジェリアのように民主選挙によって初めて混乱なく政権交代が起こったことなどは、指導者を選ぶ過程での民主主義が一歩前進したことの表れとも言えます。

7位 戦略部門の台頭

 これは国家が戦略的にビジネス分野への影響力を行使してくることのリスクを指します。アメリカなどでは安全保障上の要求から民間に対し制約をかける場合があるほか、中国やロシアなどでも政府の外交戦略がビジネスに大きな影響を与えています。今年の米中首脳会談で取り上げられた大きな課題にサイバー攻撃の問題があるが、各国ともサイバー戦略の観点から情報通信(IT)分野への関わりを強める傾向にあると言えます。

8位 サウジアラビアとイランの対立

 こちらはP5+1(米露英仏中+独)の会合で共同包括行動計画が合意された後、さらにはっきりとしてきました。「イランの核が脅威というよりも、核を持ったイランが脅威」と言われるように、サウジアラビアを始めとするイスラム教スンニ派の国々は、欧米との関係が改善し将来的に核能力も保有するであろうシーア派国のイランが中東地域の大国となり地域の主導権を握ることを懸念しています。

9位 中台関係

 昨年の統一地方選で野党民進党が大勝したことから、中台(中国-台湾)関係に緊張が生まれるのではないかとの見方もあったが、国民党政権の下では両国関係は比較的安定しています。しかし、来年年明けの総統選挙では野党民進党が有力と見られていることから、日米との関係をより重視する民進党への政権交代が起こった際には、中台関係に変化が現れるかもしれません。

10位 トルコ

 ISISへの対応など中東情勢が混沌とする中でトルコの存在感は高まってきました。他方、国内政治は混乱を極めています。6月の総選挙で過半数を割った与党公正発展党は連立に失敗し、11月に改めて総選挙を行うことを決定しました。こうした政治的空白は国内経済と治安の悪化を招いています

 

2015年はまだ終わっていませんが、こうして見てみるとブレマー氏が挙げたリスクトップ10はどれも今年の非常に大きな課題であり、今後の世界の政治経済を予測していくために非常に重要な指標となっています。

ものによっては日本であまり見聞きしない内容もあるとは思いますが、今年の世界情勢を理解するための一つの切り口として、ツールとしてこのレポートはとても面白い示唆を与えてくれるものと言えます。

 

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