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【保存版】初心者のための 機動戦士ガンダムガイドvol.1〜ガンダムの基本

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機動戦士ガンダム、それは私の人生を変えた最高傑作シリーズである。40代、50代にとってはまさにバイブル的存在であり、ガンダムを知っているだけで語れる歴史と価値観がある。

ガンダムのすごいところは、「チームビルディング」「リーダーシップ」をはじめ政治に経済と、ビジネスシーンで役立つ様々な知識やスキルも学べてしまう日本社会を生き抜くために役立つ隠れた教養であったりする。

現在、民間企業で役員幹部級の人たちの2人に1人は必ずといって良いほどこの作品に影響を受けて育った。その人たちの思考や価値観を理解するためにも見ていて損のない最高傑作である。

たくさんあって、どこから見れば良いかわからないし、そもそも興味がわかないという方のために、(いや、ただ単に自分が語りたいだけなのだが)基本を簡易に紹介していきたいと思う。

 

①ガンダムの舞台「宇宙世紀」を理解する

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各シリーズごとに世界設定が少しずつ異なるのだが、基本的に「機動戦士ガンダム」とその派生作品では現代よりずっと文明が発達し、地球上の人口が増えすぎて食糧問題や環境破壊が進んだために、環境保全策として人類を宇宙に移住させる計画が実施された人類が宇宙に進出した時代のお話である。

②ガンダムとは何かを理解する

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後に若者に絶大なる人気を得ることになるエヴァンゲリオンやその他ロボットアニメと混同されがちであるが、ガンダムなど作中でモビルスーツと呼ばれる人型ロボット(人型凡用機動兵器)は宇宙世紀においてはあくまで『兵器』として扱われ、その時代における戦争の象徴として描かれている。そう、ガンダムシリーズは正しく戦争アニメなのだ。何故兵器を人型に模して作ったのか。それは単に利便性のためだけではないのではないか、ということが作中描写から伝わってくる。兵器と兵器の争いではなく、人と人の争いであるということを私達はモビルスーツの戦闘を通して思い知らされる。現に作中では準主役的なキャラクター達も次々に戦死していってしまう。生々しいまでに戦争をよく描いている。殺傷力の高い兵器が開発されればされるほど、人間はその人知を超えた技と力につい人間の生死がかかっていることを忘れがちであるが、間違いなくこれは人間による戦争なのだということを示すアンチテーゼのシンボルとなっていると考える。

このモビルスーツという兵器を無闇に美化してみたり、陳腐な友愛を交わすような対象として描いているような同シリーズ作品は少なくはないが、それらは私の語る「ガンダム」と似て非なる作品であると言わざるを得ない。

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③「一年戦争」とは何かを理解する

 一年戦争抜きにガンダムは語れないといっても過言ではない。ガンダムは現在までに20作品以上のシリーズが制作されているが、最も価値があり人生に影響を与えうる作品は一年戦争の系譜的作品である『機動戦士ガンダム』とそのオマージュ作品である『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』だろう。

そもそもこの作品がヒットしなければこれほどまでに後の作品が続くことにはならなかっただろう。ガンダムという兵器と宇宙世紀という世界観を理解するためにも重要な教典的作品である。

「一年戦争」とは、宇宙世紀0079に勃発した。人口の増加により地球環境が退廃しつつある地球から、宇宙に人工衛星(スペースコロニー)を打ち上げ移住政策が実施された。しかし、人類の居住環境を宇宙に移行していくという政策は、第1期移民で打ち切られて後に続かなかった。なぜか。政治家や特権階級の人々が人口の減った地球で利権を貪るためにそこに安寧し続けているからであった。これに対し、裏切りの念と地球連邦に一方的に搾取されているという機運が高まり、ペースノイドを束ねる暫定国家ジオン公国が地球連邦政府に対して引き起こした独立戦争が「一年戦争」である。

作風を語る上で注目したいのは、機動戦士ガンダムの主人公であるアムロの立場である。アムロは地球連邦軍でモビルスーツ開発に携わる技術者の父と共に地球から宇宙に居住を移す。移住先のスペースコロニー・サイド7では極秘裏にモビルスーツの性能試験場が建造されており、そのモビルスーツを受領するために後にアムロ達が乗り込むことになるペガサス級宇宙艇、通称「ホワイトベース」が上陸したところでシャア率いるジオン軍により襲撃に遭う。その際、アムロはどさくさに紛れ乗り込んだモビルスーツ(ガンダム)で相手を撃退するが、サイド7の居住者と共にホワイトベース(地球連邦軍)に難民として保護される。その後、スペースノイド難民が乗船しているにも関わらず度々襲撃をしてくるジオン軍の手を逃れるために先の戦闘で不足した乗組員を補充するために、アムロ始め(本来ジオン公国側の自治内で生活をしていたはずの)少年少女達が地球連邦軍の一部として生存のために戦うこととなる。その後、物語は地球連邦軍側を主戦として展開されるが、本来、善悪の見えない複雑な戦況であり、その中で葛藤を続ける人々を描いている。このような正義と悪を分かつことをしない慎重な表現は「機動戦士ガンダム」とその派生作品に共通している。

 

④「一年戦争」に繋がっている作品群

  • 機動戦士ガンダム(1979)
    (宇宙世紀0079〜)一年戦争を描いている
  • 機動戦士ガンダムMS08小隊(1996)
    (宇宙世紀0079〜)一年戦争中の東南アジア戦線を描く
  • 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争(1989)
    一年戦争末期にサイド6で勃発した小抗争を小学生の視点から描いた作品
  • 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY(1991)
    (宇宙世紀0083〜)機動戦士ガンダムと機動戦士Zガンダムの間を埋めるようなストーリー。地球連邦軍とジオン残党との間に勃発したデラーズ紛争について描いている
  • 機動戦士Zガンダム(1985)
    (宇宙世紀0087〜)一年戦争で勝利を収めた連邦軍内部の過激組織とジオン残党、そして反地球連邦組織の争いを描いている
  • 機動戦士ZZガンダム(1986)
    (宇宙世紀0088〜)Zガンダムの続編。第一次ネオ・ジオン抗争を描いている
  • 劇場版 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988)
    (宇宙世紀0093〜)シャアがネオ・ジオン軍を率いて地球連邦軍に対し反乱を起こす
  • 機動戦士ガンダムUC(2010)
    (宇宙世紀0096〜)ネオ・ジオン軍と地球連邦軍の戦いの中から、宇宙世紀の誕生や一年戦争の起源の謎を紐解いていく

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⑤ガンダムの物語の本質を理解する

私にとってガンダムシリーズとはどのような作品かと問われれば表題のように答えるだろう。ガンダムはただのSFアニメではない。環境問題、宇宙開発、政治汚職、繰り返す新たな戦争の歴史の中で、「人間とは何か」「人間はなぜ争うのか」「生きる希望とは何か」を問いかけ哲学的命題に取り組む作品である。科学は発展し、人類は宇宙にまで進出できるようになったのに、いつになっても分かり合えず争いを繰り返す。「人がそんなに便利になれるはずがない」、戦いの中で宇宙世紀を生きる人々の”希望”とは何なのか。その普遍的な問いを、視聴者は現代の社会、自分自身の生活に置き換え考える。

「戦いの中にあって戦いを忘れた」とランバ・ラル(機動戦士ガンダム)の名言にもあるように、多くの戦士達は自分が「何と戦っているのか」ということを見失ってしまう。大義の中で自らの大事なもののために命を懸けて戦っていたはずであったのに、戦争状況のカオスの中で極悪非道であると教えられてきた敵方にも心優しく情の深い人々がいることを知り、戦う意味を見失うのだが戦争が大きく支配する時代の流れには抗えない。

そんな無慈悲な世界の中でも人々が生き抜いていくためには、『希望』が必要である。その未知なる可能性をメインキャラクター達と一緒に模索していく物語、それが「ガンダム」なのである。 

 

幼い頃はロボットの期待に憧れ、青年になると戦士達の熱いやり取りに思い焦がれ、晩年には登場人物達の懸命な生き様に胸を熱くする。老若男女問わず世代を超えて楽しめる作品となっている。